ブラックミュージック界隈でビックネームのリリースが続いた4月は、特に邦楽のアーティストの活躍が目立ちましたね。本記事では、そんな4月リリースの良盤をまとめてみました。
気に入った作品があれば、ぜひチェックしてみて下さいね。
KOHH 「worst」
引退前最後のアルバムであると噂されるKOHHの6枚目となるスタジオアルバム。
アメリカが誇るエレクトロミュージシャン”スクリレックス”、元毛皮のマリーズのロックボーカリスト志磨遼平、フランスのエレクトロジャズ、キーボートプレイヤー”シャソル”などグローバルな客演が並ぶ。
トラップやドリル・ミュージックをいち早く取り入れ、世界的に評価されるアーティストとなった彼は、今作でも自分伝えたいことをただひたすら愚直に表現している。
ジョンレノンとオノヨーコの関係をテーマに不倫の曲を作ったりするストレートさが彼の魅力だと思います。
もうすぐ30歳という節目の年に引退を宣言した彼であるが、またいつか新たなスタイルで音楽と向き合ってくれることを切に願う。

Dababy 「BLAME IT ON BABY」
デビューアルバムに収録されたシングル『Suge』がネットを中心に大流行となり、2ndアルバム「カーク」は全米チャートで見事1位を獲得。
そんな前作から僅か7ヵ月ほどでリリースされたのが通算3枚目となるスタジオアルバム「ブレイム・イット・オン・ベイビー」です。
今、まさに”旬“を迎えているダベイビーが「作品中の楽曲すべてがヒットになる可能性を秘めている」とリリース前から自信をのぞかせていた作品でかるが故に、ウィークエンドの新作を抜いて全米1位に輝いたことは必然といえますよね。
今を時めくラッパー”ロディー・リッチ“を客演に迎えた「ROCK STAR」では負けず劣らずのキレキレのラップを披露してくれているし、ヒップホップソウルの重鎮”アシャンティ”のヒット曲『Baby』をサンプリング(フィーチャリング)した『Nasty』もイケてます。
世界中が疫病で苦しんでいる状況で、マスク姿のダベイビーが最高の”コロナ対策“を届けてくれました。

GADORO 「1LDK」
自身の1stアルバム「四畳半」と同じ”間取り”がタイトルとなった4thアルバム。
地元宮崎のインディーズレーベルからリリースとなった今作は、ラッパーを目指すキッカケだという般若とのコラボが実現。
四畳半を書いた頃の気持ちを忘れずに、進化した自分を魅せたいという想いが込められた意欲作。
過去を背負いながらも”今“を歌う彼が、最後に語ってくれた「幸せ」の形
確かに「今、訪れる災いは”あの日”おろそかにした日の報い」なのかもしれない。
しかし”大きな海を越えてきた私たちは、小さな海くらい泳ぎきれる”
この作品を聴いて、生きたまま幸せになりましょう。

kZm 「DISTORTION」
東京を代表するYENTOWN所属のラッパーの約2年振りとなる2ndアルバム。
今作では、RADWIMPSのボーカル野田洋次郎やかつて宇多田ヒカルのプロデュースで知られる小袋成彬など、ヒップホップの枠にとらわれず、様々なジャンルのアーティストと共演を果たした。
彼の音楽に対する生き様。金やドラッグ、愛などの日常。
生活していく上での苦悩や葛藤、怒りを表現した前半と喜びや悲しみを表現した後半。
チャキ・ズールーやRRAREBEAR、VaVaの激しくも切ないビートが相まって、まさに1つの人生の”歪曲“を体現したような作品。

JP THE WAVY 「LIFE IS WAVY」
突然ドロップされたMV”Cho Wavy De Gomenne“の大流行に驕ることなく活動を続け、MINMIやRIRI、SALUなどの作品にピックアップされるなど常に注目を集めていたウェイビーの1stアルバム。
m-floのVERBAL、MIYACHI、AKLOなど国内の大物アーティストだけに収まらず、海外のビックネームも多数参加したビッグタイトルとなっています。
韓国が誇る人気ラッパーであるJay Park(元韓国アイドルグループ”2PM”のリーダー)やSik-Kが日本語でラップしてくれていたり、クレジットされていないSALUの声が聴けたりするもの嬉しいところ。
世界中で彼のキレキレのラップとダンスが観られる日もそう遠くないのかもしれません。

韻シストBAND 「RAIN」EP
ソロでも精力的に活動を行っている2MC(BASI、サッコン)、Shyoudog(Ba,Vo)、TAKU(Gt,Cho)、TAROW-ONE(Dr)からなる日本を代表するファンキーでグルーヴィーな生ヒップホップ・バンド「韻シスト」
その中でも、楽器を担うShyoudog、TAKU、TAROW-ONEで構成された3ピースバンド”韻シストバンド”名義では約8年ぶりとなる作品が今回ご紹介する「RAIN」である
「RAIN」は、韻シストが昨年発売した「SHINE」から、今年の秋にリリースを予定しているアルバム「HARVEST(収穫)」へと繋がる重要作だという。
あくまでヒップホップを母体とした「韻シスト」とは少し異なり、よりソウルやファンクに重きを置いた”ベイシス“を堪能できます。

YOUNG FREEZ 「FOCUS」EP
東京アンダーグラウンドシーンで活躍していた大所帯クルー”Local Babylon”の中心的人物だったヤングフリーズの最新EP。
2ndアルバムの時から、さらにメロディアスな表現力に”焦点”が当てられているように感じました。
統一感のあるトラックと世界観、主体性のある言葉選びが、スッと耳に入ってきてアッという間に時が過ぎてしまう。
ソファーに深く腰掛け煙をくぐらせながら、広くないテーブルの上に彼のリリックをおもいっきり広げて楽しんでいただきたい。

変態紳士クラブ 「HERO」
大阪を中心に活躍するラッパーのWILYWNKA(TAKA)、レゲエDeeJayのVIGORMAN、トラックメーカーのGeGからなるジャンルレス・ユニットの2nd EP。
各自がソロでの精力的なライブ活動やリリースを経て、約2年半振りとなる作品。
ギターサウンドやR&Bの要素を取り入れたメロウでピースフルなトラックにエモーショナルな表現やポジティブな言葉が映える。
消極的な感情や後ろ髪を引かれる思いを断ち切って、一歩前に進むことをきっと後押ししてくれますよ。

MASA TAKUMI 「HERITAGE」
ロサンゼルスを拠点に活躍するピアノやドラムス、ギターなど様々な楽器をこなせるマルチプレーヤーの最新作。
元々は、Siren(サイレン)という3ピースロックバンドのドラムスを担当していたことでも知られています。
前作のピアノ伴奏を主体とした美しいインストミュージックという印象からは打って変わって、今作では”和楽器“にジャズやR&Bの要素を取り入れた、どこか懐かしくも斬新な仕上がり。
日本と海外を渡り歩いた彼だからこそ成せる和と洋の融合に心踊ります。

CIRRRCLE 「BESTY」EP
兵庫県で生まれLAで学生時代を過ごしたというシンガー兼ラッパーのアミイデ、アメリカ出身でLAや東京で活動をしていたラッパーのジョーダン、新潟出身のトラックメ―カーであるアゴ―の3人からなる国際派ヒップホップクルー「サークル」
現在も東京やLAを中心に活動。アジアのアーティストを積極的にピックアップしている”88Rising”のコラボイベントに参加するなど国際的に注目を集める中、リリースされた初の全国流通版となるEP。
ソウルにパンクロックやファンクの要素をバランスよく織り交ぜたグルーヴィなサウンドで朝から踊り明かしたくなる作品。

Anonymouz 「No NAME」EP
ある日、突然自分の名前を失った18歳の少女「アノニムーズ」
“ユーチューブで有名アーティストの楽曲をめっちゃいい感じに英語カバーしている人“くらいの認識だったので、彼女のオリジナル音源のクオリティの高さには正直驚きました。
ダークサイドに両足を突っ込んだような深いビートとその世界観を裏切らない独特なワードチョイス。英語が主体である彼女の楽曲に、今作では日本語の表現を巧く組み込んでいます。
そのビートアプローチに違和感を感じないのは、英語の発音を”意図的”に日本語っぽくしているからだと思う。バイリンガルのアーティストが日本語のリリックを英語っぽくフローするのに似ている気がしました。
とにもかくにも、久しぶりに宝物を見つけたような感覚。これからが楽しみな逸材。

haruru犬love dog天使 「lonely」EP
ノイズロックバンドでの音楽活動を経て、ラップを始めたという異色の経歴を持つharuru犬love dogの新作EP。
SEEDAのユーチューブチャンネル”ニートtokyo“への出演や雑誌の執筆をきっかけにしてチェックしていたリスナーの方も多いはず。
今作ではアーティストとしてのフィルターを透して「私」に対する世間の評価に言及したり、コンプレックスを赤裸々に語っています。
“孤独”と向き合い、リリックを書くのは恐ろしいことだ。しかし、恐怖と正面から向き合った彼女の選択が”上”じゃなかったとしても、きっと自分なりの道を示してくれることでしょう。

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